きつねの窓(F100号)

2018年 第103回二科展 入選 


童話作家 安房直子さんの短編『きつねの窓』からインスピレーションを受けて描いたものです。小学生の頃、国語の教科書に載っていました。子供心にも大変切なさを感じた物語で、大人になってからも忘れられず、また読んでみました。


絵本のカバー内側の序章だけ ↓

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ぼくが青いききょうの花畑の中を白い子ぎつねを追っていくと、ふいに小さなそめものやの前に出ました。店から一目で子ぎつねとわかる男の子がでてきてテーブルに案内してくれました。「お客さま、指をそめるのはとてもすてきなことなんですよ」というと子ぎつねは青くそめた自分の指でひしがたの窓をつくってみせました。「ねえ、ちょっとのぞいてごらんなさい」ぼくはしぶしぶ窓の中をのぞきました。そして、ぎょうてんしました。指でこしらえた小さな窓の中には白いきつねのすがたが見えるのでした。

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私は影響されやすい子供だったので、ききょうの花を摘んで汁をつくって指をそめてみましたよ。ドキドキしながらひしがたの窓をつくってみましたが何も見えませんでした。


この作品は現実と物語をミックスさせて描いています。指を青くそめた男性(主人公のぼく)は私の旦那さん。ききょうの花畑が向こうに広がるこの場所は「珈甘堂ピンクベア」(弘前市桶屋町、閉店)。白きつねは小さいですが行燈に描きました。お山に登って満月(電球)を眺めています。


余談ですが、私の実家の住所は弘前市桔梗野です。この物語のなかにあるようですごく気に入っています。また、弘前市には独狐(とっこ)という地名もあります。