★鳥(F0号)
少年ののりすてたボートには、白い花びらがちっていました。
あたしは、思わず、それを手にとりました。
すると、花びらは、羽にかわっていました。
鳥の羽でした。
あたしは、ふしぎな、夏の夢をみたような気がしました。
~安房直子「鳥」より~
日がしずんだ海で出会った二人を、本来のかもめの姿で描いています。
海女のまほうにより人間の姿にかえられることとなる、ふたつぶの赤い海草の実をくわえて。
運命の赤い実で結ばれている二羽のかもめです。
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この作品は、今日から催される「幻の市 春の万華鏡」で展示されます(DMは写真3・4)。
東京・東長崎にある、ハンドメイド雑貨のセレクトショップ @planet_hand さんによる企画展。私を含む20人の作家さんが、安房直子さんの物語から生まれたイメージで作品に息吹を吹き込みました。
また、同時開催される秋元紀子さんの朗読会もとっても楽しみです!安房直子さんの物語を25年間も語り続けていらっしゃる朗読俳優さんです。
ところで皆さん安房直子さんをご存じですか?恐らく小学校の教科書で読んだことがある方も多いはずです。
私は「きつねの窓」という物語が大好きで、数年前の二科展出品作品のモチーフにしたこともあります(写真6)。
安房直子さんの物語をコンセプトとした企画展を継続されていらっしゃるPlanethandオーナーのやしまさんが、インスタグラムで私の「きつねの窓」を見つけてくださり、この展示に参加させていただくこととなりました。
このたび描いた「鳥」という物語も、昔、教科書か試験問題で読んだことがあるのを思い出しました。
まっさおな顔をして耳のお医者さんの診療室に駆け込んだ少女が、耳の中にはいってしまったひみつを取り出してもらおうとするところから始まります。
これもだったのか!安房直子さんらしいお話!と納得しました。
出来上がった絵は、「これ、いい!私は好き♪」と気持ちが晴れやかになるところまで描きました。簡単そうに見えるかもしれませんが味を出すのに意外に時間がかかっています。
モチーフの配置や着色の仕方を自分なりに考え抜いたのですが(黒ペン、クレヨン、色鉛筆も使用、絵具のにじみ・ぼかし、純白胡粉や金をのせるなど)私の作品にはあまりないタイプなのでどうでしょう?自分としては満足です。実物は光が差すとキラキラと輝いてもっとキレイです。
「幻の市 春の万華鏡」
2022年4月1日(金)~5月30日(月)
期間中の金土日月 11:00~20:00
於:Planethand~プラネットハンド~
豊島区長崎4-9-6-201
03-5964-0032
西武池袋線東長崎駅北口30秒
ほのぼのとした商店街に佇むPlanethandさんは屋根裏部屋のような不思議空間。
絵画のほか、クラフト、アクセサリー、ジャムやお菓子、コーヒー豆、本など、雑貨屋さんならではのセレクト商品が所狭しと並んでいます。
熱意のあるオーナーさんが、素敵なオリジナル作品を真心こめてお届けしています(写真5)。
展示期間は2か月ありますので、春のお散歩がてら是非お立ち寄りください♪
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