注文の多い料理店(F3号)
山奥にやってきた二人の青年紳士。道に迷った彼らが見つけたのは西洋風の一軒家。看板には「西洋料理店・山猫軒」。大喜びでそこに入っていった二人の運命は……。
宮沢賢治『 注文の多い料理店』より
※中央の建物は青森県弘前市にある藤田記念庭園内の大正浪漫喫茶室にしてみました。
~あらすじ&解説~
(私は読んだことがありますが、以下の文章は私が書いたのではありません。ネットからピックアップしてまとめたものです。面白いのでよかったらお読みくださいね♪)
2人を待っていたのは「太った人や若い人は大歓迎」という看板。これを見た2人は「自分たちは若くて太っているから歓迎されているのだ」と思い込み、意気揚々と山猫軒に踏み込んだ。扉の上には黄色い文字で、「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」と書かれている。2人はこの文言を「客が多く注文が込み合っている」という意味だと捉え、さらに奥に進む。進んでも進んでも店の中は広く、なかなか奥までたどり着かない。そのうちに、「髪をといて、履物の泥を落としてください」「鉄砲と弾丸をここに置いてください」「帽子と外套と靴を脱いでください」「壺の中のクリームを顔や手足に塗ってください」など、2人への「注文」は続く。2人はこれらを「よほど偉い客がきているのだろう」「気が利く店主だ」などと好意的に捉え、どんどん店の奥へと進んでいく。進んだ先の扉の裏側には、「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。もうこれだけです。どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさんよくもみ込んでください」と書かれている。ここで初めて2人は、この店は「客に西洋料理を食べさせる店」ではなく、「客を西洋料理にして食べる店」だと気づき震えあがる。逃げようとするも扉が開かず、もう助からないと思ったその時、死んだと思っていた猟犬が戸を突き破って躍り込んでくると、「山猫軒」は雲のように消えてしまった。安堵した2人の紳士であったが、あまりの恐怖で泣いて紙屑のようになってしまった彼らの顔は、2度ともとには戻らなかった。
★2人の都合よい解釈と最後のギャップがこの物語を面白くしています。
★この主人公の2人は猟をするため山に来ました。命を軽視し、なんでもお金で解決しようとします。上流階級への批判、命の尊さを忘れてしまっている人間の傲慢さに対する罰という観点からもこの物語を捕えることができるのではないでしょうか。
★山猫ははじめから人間を喰うつもりはなく、遊び感覚で山の命を奪う二人の紳士を懲らしめるために、あのような仕掛けを張ったのではないでしょうか。彼らはその後の人生で、しわくちゃになった理由を何度も人に尋ねられ、そうして山での怖ろしい出来事を語るのです。それが何よりも効果的であることを、山猫は考え抜いていたのだと思います。
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